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サニスタ通信 第一号 2021年8月

 

サニスタ通信 第一号 2021年8月

題目:
子どもの居場所ができるまで #1

筆者:
理事長  森本 智美

 

 

 特定非営利活動法人Sunny Side Standard代表の森本です。

 これからみなさんに私たちの団体の一番大事な取りくみ「子どもの夕刻を支える場」がどのようにしてできていったのかを、立ち上げたメンバーそれぞれの立場からの見え方で、みなさまにリレーエッセイという形でお伝えしよう!と思います。

 

 まずは代表の森本から・・・

 

学校で出会った不登校のAさん
 私はSSW(スクールソーシャルワーカー)という立場で、学校で子どもたちについての相談を先生や保護者 や子どもから受ける仕事をしています。その仕事で、不登校のAさんのことについて先生から相談を受けました。学校で先生といろいろと考えてやってみるけど、な かなか前に進まない......AさんやAさんのお母さんの 気持ちを聞きたいけど、なかなかうまくいかない。そこで、役所の子ども福祉部局の人や民生主任児童委員さんと会議をして一緒に考えてもらうことになりました。

 

会議での出会い~夏休みの調理実習~
 その会議で私は役所の子ども福祉部局の社会福祉士 、民生主任児童委員さんと出会いました。会議でみんなで「どうしたらいいのか 」「う~ん 」とうなりながら考えついたのが、「Aさん、Aさんのお母さんといっしょにご飯を作って食べながら話を聞いてみよう」という案でした。この親子での調理実習がすべての始まりでした。 夏休みに公民館で4回、親子調理実習をしました。そして、本当にAさん、Aさんのお母さんと仲良くなりまし た。最後の親子調理実習の日にAさんは「なあ、森本さん、これってもう終わりなん 」と言ったのです!

 

なんとか、やってみよう!!
 私はAさん親子との関係を繋いでいきたい、Aさん親 子に寄り添って支えられたらと考えるようになっていました。そこにこのAさんの言葉を聞いて、役所の社会福 祉士、民生主任児童委員の顔をみたら、なんとな~くおなじことを考えているような......。誰からともなく「な んとかやってみよう」という言葉が出てきました。

 

偶然とアイデアが重なる
 始めるにもお金も時間も何もない......。どうするか ......3人で悩んでいたら、そこに偶然にも民生主任児 童委員のつながりのある地域のお寺さんが私たちの話を聞いてお寺を貸してもいいと言ってくださいました。それにお供え物のお菓子も提供してくださる、とのこと!! それなら、私たちが仕事が終わった夕方からお寺 に集まって、Aさん親子と一緒に遊んでおやつを食べて過ごすことができるのでは!と考えました。最初は「夕刻を支える」ということを意図したのでなく、「みんな仕事が終わってからしかできない」状況でのスタートでした。しかし、この偶然が「一緒に遊んで、一緒にご飯 を食べて、夕刻を過ごす」子どもの夕刻を支える場になっていったのです。

 

おやつから晩御飯へ
 おやつを一緒に食べることをしていましたが、本当は 夕ご飯を一緒に食べたいなあ、「いただきます!」とみんなであたたかいご飯をたべたい、と思い続けていまし た。始めたころはAさん親子のほかにも二人の中学生と 小学生のきょうだいも参加していて、ボランティアも若い役所の職員さんたちが4人くらいかかわってくれ始め ました。ボランティア、私たち発起人も含めてみんな、 コンビニなどで夕食を買って食べてから、こどもたちと 遊んでいました。そこで考えたのが、みんなの夕食代を 持ち寄れば、食事を作る費用ができるのではないかと。 そうして、晩御飯が月1回できるようになりました。こ うして、手作りのボランティア団体が小さくスタートしていきました。規模や予算は小さくても、関わる大人たちの気持ちはとても熱い!そんな私たちの始まりでした。

 

 今回はとりあえずここまで。SSWから見た私たちの「子どもの夕刻を支える場」のはじまりPart1をお届けしました。

 

 

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